マンションリノベの施工トラブルQ&A — 管理組合・保証・追加費用の事例と対処法

マンションリノベーションは、理想の住まいを手に入れる夢のあるプロジェクトですが、同時に「管理組合との調整」「想定外の追加費用」「施工後の不具合」といったトラブルのリスクもゼロではありません。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、トラブルが起きる原因と、起きたときの正しい対処法を知っておくことが最大の防御策です。本記事では、マンション特有のトラブル事例をQ&A形式や実例を交えて徹底解説します。
この記事で得れること
✓ マンションリノベーションのトラブル事例
✓ マンションリノベーションのトラブル防止策や対処法
この記事の内容が少しでも参考になれば幸いです(^^)/
- 1. 1. 管理組合(マンション)に関するトラブル事例と対処
- 2. 2. 見積り・追加費用トラブル(費用が増えた)事例と対処法
- 3. 3. 設計・施工不良(手抜き工事・仕様違反)のQ&A
- 4. 4. 保証・アフターサービスに関するトラブルと確認事項
- 5. 5. 工事中の近隣・共用設備トラブル(騒音・水漏れ等)
- 6. 6. 完成後に出る不具合(クロス浮き・床鳴り・隙間など)の具体対処
- 7. 7. トラブル発生時の実務フロー(段階別・テンプレ付き)
- 8. 8. 第三者(専門家)に相談する場合:弁護士・建築士・仲裁・保険
- 9. 9. 予防策:契約書・仕様書・写真でトラブルを未然に防ぐ方法
- 10. 10. ケーススタディ — よくある事例と回答
- 11. 11. よくある質問(FAQ)
- 12. 12. まとめ(要点の再整理)と次のアクション
1. 管理組合(マンション)に関するトラブル事例と対処


『ゆきプロ』
マンションリノベーションが戸建てと最も異なる点は、「管理組合(=他の住民)」の承認が必要な点です。ここで躓くと、工事自体ができなくなる恐れがあります。
1-1. 管理規約でNGとなる工事・許可の取り方
多くのトラブルは「管理規約の未確認」から始まります。特に以下の3点は厳しく制限されていることが一般的です。
- 床の遮音等級(L値): フローリングに変更する場合、「L-40」や「L-45」などの遮音性能が必須となるケースが大半です。
- 水回りの移動: パイプスペース(PS)の位置は動かせないため、キッチンやトイレの大幅な位置変更が禁止、または勾配が取れず不可となる場合があります。
- 共用部分への干渉: 玄関ドアの外側、バルコニー、窓サッシは「共用部分」です。勝手に交換したり色を塗ったりすることはできません。
対処法
プランニングの初期段階で、必ず最新の「管理規約」と「使用細則」を施工会社に渡し、許可が必要な項目をリストアップしてもらいましょう。
1-2. 管理組合との意見対立:よくある原因と交渉のコツ
「規約上は問題ないはずなのに、理事会から難色を示された」というケースがあります。原因の多くは「騒音への懸念」や「工事車両の駐車場所」など、近隣感情によるものです。
交渉のコツ
- 感情的にならない: 権利を主張する前に、懸念点(音やホコリ)への対策を具体的に説明します。
- プロを味方につける: 専門的な説明は施工会社の担当者に同席してもらい、技術的な裏付け(遮音データの提示など)を行ってもらうのが有効です。
1-3. 事例:承認後に指示が変わった場合の対応フロー
工事申請が受理された後に、管理人や理事長から「やっぱりここはこうしてほしい」と現場で指示が変わるトラブルがあります。
対応フロー
- 口頭で承諾しない: その場での返答は避け、「施工会社と相談して確認します」と持ち帰ります。
- 文書化する: 変更指示が「規約に基づくもの」か「個人の要望」かを確認し、変更によって生じる費用や工期の遅れを書面で管理組合へ提出します。
- 記録を残す: 「いつ、誰から、どのような指示があったか」を必ずメモに残し、施工会社と共有します。
2. 見積り・追加費用トラブル(費用が増えた)事例と対処法


『ゆきプロ』
「契約時の金額で終わると思っていたのに、最終的に高額な追加請求が来た」というのは、金銭トラブルの代表例です。
2-1. 見積り段階での確認ポイント(見積書の読み方)
見積書で最も注意すべきは、「一式」という言葉と「別途工事(見積り除外項目)」です。
- 「○○工事 一式」の内訳を聞く: 具体的にどこまでの作業が含まれているかを確認します。
- 「別途」項目の確認: 駐車場代、廃材処分費、養生費、現場管理費などが含まれているか、別途請求かを契約前にクリアにします。
2-2. 工事中に追加費用が発生したときの正しい手順

リノベーションでは、解体して初めてわかる想定外の事態(腐食や配管の老朽化など)が起こり得ます。この際、口頭での「やっておきますね」はトラブルの元です。
正しい手順
- 現場確認: なぜ追加工事が必要なのか、現場または写真で説明を受ける。
- 追加見積書の提示: 工事を行う前に、金額と工期の変更を書面で提示してもらう。
- 合意(サイン): 金額に納得してサインをしてから着手してもらう。
2-3. トラブル事例:下見不足で発生した追加工事への対応例
事例: 解体してみたら、想定よりも床下の配管が劣化しており、全交換が必要と言われた。
対応: これは「不可視部分(見えない部分)」のトラブルです。完全に防ぐのは難しいですが、契約前に「もし配管が悪かった場合、最大でいくら掛かるか」という概算(予備費)を計上しておくと、精神的・資金的な余裕が生まれます。明らかに事前の調査不足(見える範囲の見落とし)であれば、施工会社に費用負担の交渉をする余地があります。
3. 設計・施工不良(手抜き工事・仕様違反)のQ&A


『ゆきプロ』
「イメージと違う」と「施工不良」は異なります。ここでは客観的な「不良」について解説します。
3-1. どんな症状が“施工不良”に該当するか(チェックポイント)
- 機能的な欠陥: 水漏れ、電気がつかない、建具が閉まらない、床が極端に傾いている。
- 契約との不一致: 指定した品番と違う壁紙が貼られている、棚の高さが図面と違う。
- 法的な違反: 内装制限(消防法)を守っていない、電気工事士の資格がない者が工事をしたなど。
3-2. 写真・記録の取り方と証拠としての有効性
「おかしい」と思ったら、すぐに証拠を残してください。
- 全体とアップ: 状況がわかる「引き」の写真と、不具合箇所の「寄り」の写真をセットで撮ります。
- メジャーを添える: 隙間の大きさやズレの幅がわかるよう、定規やメジャーを当てて撮影します。
- 日付入り: スマートフォンの撮影データ(Exif情報)はそのまま証拠になります。
3-3. 施工不良が見つかったときの優先対応(安全確保→是正)
感情的に怒鳴るのではなく、冷静に以下の順序で動きます。
- 安全確保: 水漏れや漏電など、被害が拡大する恐れがある場合は応急処置を最優先させます。
- 是正要求: 証拠写真と共に、「契約図面と異なるため、修正してほしい」と具体的に伝えます。
- 期限の設定: 「いつまでに直すか」の確約を書面(メール可)でもらいます。
4. 保証・アフターサービスに関するトラブルと確認事項


『ゆきプロ』
工事が終わった後の「安心」を担保するのが保証です。しかし、保証には種類があります。
4-1. メーカー保証・工事保証・瑕疵担保の違い
- メーカー保証(1〜2年): キッチンやトイレなど「製品そのもの」の故障に対する保証。
- 工事保証(施工店独自): 「配管の接続不良」や「壁紙の剥がれ」など、工事ミスに対する保証。会社により期間や内容が異なります。
- 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任): 民法に基づき、契約内容と異なる引き渡しがあった場合に、売主・施工者が負う責任。
4-2. 保証を使うときの手順(連絡先・書類テンプレ)
不具合を見つけたら、まず「保証書」を確認します。
- 連絡先: アフターサービス窓口か、営業担当者か。
- 伝えること: 「いつから」「どのような症状か」「(わかれば)品番」
- 準備するもの: 契約書、保証書、不具合の写真。
4-3. 保証が効かないケースとその対処(善管注意義務など)
すべての不具合が無料で直るわけではありません。
- 経年劣化: 自然な摩耗や汚れ。
- 使用者の過失: 重い物を落として床が凹んだ、メンテナンスを怠ったなど。 これらは「有償修理」となります。住まい手としての「善管注意義務(管理者として注意して扱う義務)」を果たすことが大切です。
5. 工事中の近隣・共用設備トラブル(騒音・水漏れ等)


『ゆきプロ』
マンションリノベで最も気を使うのが「近隣トラブル」です。
5-1. 近隣クレームが出た場合の対応フロー
クレーム(騒音、振動、ホコリ、職人のマナー)が入った場合、原則は施工会社(現場監督)が対応しますが、施主も無関係ではいられません。
- 事実確認: 施工会社に状況を確認する。
- 謝罪・挨拶: 重大なクレームの場合、施工担当者と一緒に施主も謝罪・挨拶に行くと、その後の心証が大きく変わります。
- 改善策の掲示: 「工事時間を短縮する」「養生を強化する」などの対策を掲示板等で告知します。
5-2. 共用設備(配管・電気)を傷つけた/問題が出たときの責任範囲
工事中に業者が誤って共用配管を傷つけたり、マンション全体の火災報知器を誤作動させたりした場合、責任は基本的に施工会社にあります。 ただし、契約書で責任の所在が曖昧だとトラブルになります。「工事に起因する損害は請負者が賠償する」という条項があるか確認しましょう。
5-3. 事例:工事で発生した水漏れ→下階損害の賠償対応

リノベ工事中のミスで階下に水漏れさせてしまった場合、階下の方への家財賠償や内装復旧が必要です。 この際、施工会社が加入している**「請負業者賠償責任保険」**が適用されるかどうかが重要です。契約前に「損害保険に入っていますか?」と確認することは必須です。
6. 完成後に出る不具合(クロス浮き・床鳴り・隙間など)の具体対処


『ゆきプロ』
引き渡し直後は綺麗でも、住み始めてから気づく不具合もあります。
6-1. 完成後のチェックリスト
- 入居前(引渡し時): キズ、汚れ、建具の開閉、水の流れ、電気の点灯。
- 引渡し後48時間: 実際に使ってみて気づく初期不良(お湯が出ない等)。
- 1ヶ月〜数ヶ月後: 壁紙の継ぎ目の開き(クロスの隙間)、床鳴り。これらは湿気や乾燥による木の収縮で、ある程度落ち着いてから補修するのが一般的です。
6-2. 軽微な不具合と重大な不具合の見分け方

- 軽微(アフター対応): クロスの隙間、ドアの蝶番の緩み、コーキングの切れ。これらは定期点検での対応で問題ありません。
- 重大(即連絡): 水漏れ、異臭、漏電ブレーカーが落ちる、壁のひび割れ。これらは生活に支障が出るため、即時対応が必要です。
6-3. 修理依頼〜修了確認のテンプレ
【修理依頼メール例】
件名:補修のお願い(物件名・部屋番号・氏名)
担当 ○○様 お世話になっております。先日引き渡しを受けました○○です。 入居後、以下の不具合を確認いたしました。
- リビングドアの開閉時に異音がする
- キッチン水栓の根元から水が滲んでいる(※写真添付)
生活に支障があるため、今週中に確認・補修をお願いできますでしょうか。 ご連絡をお待ちしております。
7. トラブル発生時の実務フロー(段階別・テンプレ付き)


『ゆきプロ』
実際にトラブルに直面したとき、パニックにならず動くためのフローです。
7-1. まずやること(安全確保・写真・メールでの記録)
電話だけで済ませず、必ずメールや書面に残します。「言った・言わない」が最大の敵です。
7-2. 施工会社へのクレーム提出テンプレ(日本語例文)
感情を抑え、事実と要望を伝えます。
【是正要求メール例】 件名:施工内容の相違について(氏名)
○○様 平素よりお世話になっております。 本日現場を確認したところ、図面では「A」となっている箇所が「B」で施工されておりました。
該当箇所: 寝室のクローゼット内部 現状: 棚板が3枚設置されている(図面では4枚)
工事再開前にご確認いただき、図面通りへの是正スケジュールをご回答ください。 よろしくお願いいたします。
7-3. 管理会社・管理組合への報告テンプレとタイミング
共用部に関わるトラブル(水漏れ、共用廊下の汚損など)が起きたら、隠さずに管理会社へ報告します。
【管理会社への報告例】 本日、当方のリフォーム工事において、搬入業者がエントランスのタイルの一部を汚損したとの報告を施工会社より受けました。 現在、施工会社にて清掃・復旧対応中ですが、念のためご報告いたします。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
8. 第三者(専門家)に相談する場合:弁護士・建築士・仲裁・保険


『ゆきプロ』
当事者同士(施主 vs 施工会社)で話がまとまらない場合の「次の手」です。
8-1. どの専門家に相談すべきか(ケース別ガイド)
- 施工不良か判断できない場合: 建築士、ホームインスペクター(住宅診断士)。
- 話し合いが決裂した場合: 「住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)」。無料で電話相談ができ、リフォーム工事瑕疵保険に加入していれば専門家相談や紛争処理も利用可能です。
- 法的な争い・契約解除: 弁護士。ただし費用がかかるため、最終手段です。
8-2. 相談前に用意すべき資料リスト
専門家は資料がないと判断できません。
- 工事請負契約書・約款
- 設計図面・仕様書・見積書
- 打ち合わせ記録(議事録・メール履歴)
- 不具合箇所の写真・動画
- 時系列をまとめたメモ
8-3. 費用の目安と、相談前に試すべき交渉手順
いきなり弁護士を入れると相手も硬化します。まずは「住まいるダイヤル」や、自治体の「消費生活センター」へ相談し、そこでのアドバイスを元に、「専門機関に相談したところ、このような見解でした」と業者に伝えるだけで、対応が変わることがあります。
9. 予防策:契約書・仕様書・写真でトラブルを未然に防ぐ方法


『ゆきプロ』
トラブルの9割は契約前の準備で防げます。
9-1. 契約書に必ず入れるべき項目
- 工期と遅延損害金: 工事が遅れた場合の補償ルール。
- 支払い条件: 着手金・中間金・完了金のバランス。完成前に全額払うのはリスクが高いです。
- 契約不適合責任の期間: 引き渡し後、いつまで保証されるか。
9-2. 見積り時のヒアリングチェックリスト
- 「管理規約は確認しましたか?」
- 「この見積もりに含まれていない費用はありますか?」
- 「もし壁を開けて問題があった場合、追加費用は最大どのくらいですか?」
9-3. 発注者ができる現場チェック
「任せきり」にせず、解体後、配線時、下地完成時など、節目で現場に顔を出し、職人さんに飲み物を差し入れつつ、「図面通りか」を目視確認するのが最も効果的な牽制になります。
10. ケーススタディ — よくある事例と回答

10-1. 事例1:管理組合がバルコニー工事をNGにした
状況: ウッドデッキを敷きたかったが、大規模修繕の邪魔になると反対された。
回答: バルコニーは共用部です。すぐに撤去できる「置き敷きタイプ(タイルマット等)」であれば許可されるケースが多いので、製品を変えて再申請しましょう。
10-2. 事例2:下見不足で追加見積りが発生した
状況: 契約後に「キッチンの換気ダクト経路が確保できないため、天井を下げる必要がある」と言われ、追加費用が発生。
回答: プロなら事前に天井裏を確認すべき事項です。「調査不足による追加工事ではないか」と交渉し、費用の折半や、一部負担をお願いする交渉が可能です。
11. よくある質問(FAQ)

職人さんの態度が悪いのですが、変更できますか?
担当者(現場監督)に伝えましょう。直接注意すると角が立つので、監督経由で改善を求め、酷い場合は担当替えを依頼できます。
工事が予定より大幅に遅れています。どうすればいい?
遅延の理由を書面で求めましょう。業者側の都合であれば、仮住まい費用の延長分などを請求できる可能性があります(契約書の遅延損害金条項を確認)。
リノベーション工事の保証期間は一般的にどのくらいですか?
一般的に、設備機器(キッチン等)のメーカー保証は1〜2年、内装工事(壁紙等)の保証は1〜2年、構造に関わる給排水管工事などは5〜10年程度が目安です。契約前に「アフターサービス基準書」を確認しましょう。
管理組合への工事申請は誰がやるべきですか?
書類の作成は施工会社が代行してくれますが、提出者の署名捺印は施主(区分所有者)が行います。提出は、トラブル防止のため施主が理事長や管理人に挨拶を兼ねて行うのがベストですが、その辺りはリフォーム会社と相談してみてください。
追加費用を払いたくない場合、工事を断ることはできますか?
可能です。ただし、その工事を行わないと安全性が保てない場合や、仕上げができない場合があります。その場合、仕様のグレードを落とすなどして予算内で収める代替案を相談しましょう。
12. まとめ(要点の再整理)と次のアクション
マンションリノベーションのトラブルは、**「事前の確認(契約・規約)」と「記録(書面・写真)」**でその多くを防ぎ、解決することができます。
理想の住まいづくりにおいて、トラブルは誰しも避けたいものです。しかし、万が一の際の知識を持っているだけで、安心してプロジェクトを進めることができます。
12-1. まずやるべき3つの行動(緊急版)
もし今、トラブル中であれば:
- 工事を一時ストップする(被害拡大防止)。
- 現状の写真を撮り、経緯をメモする。
- 契約書と約款を手元に用意する。
12-2. 予防として今すぐできるチェックリスト
これからリノベーションを始めるなら、まずは**「信頼できるパートナー選び」**が最重要です。
- 見積もりの詳細説明をしてくれるか?
- 管理規約を熟読してくれるか?
- リスクも事前に説明してくれるか?
- 会社の実績や評判だけでなく、担当者の知識や実績は豊富か?
このチェックリストを、リノベーション会社選びの参考してみてください(^^)/

『ゆきプロ』
最後までご覧頂きありがとうございます。
満足のいくリフォームやリノベーションをご検討の方は、大阪府豊中市のリフォーム会社『ゆきプロ』へご相談ください。
ゆきプロは少数精鋭。経験、実績のあるスタッフのみのプロ集団です。
お見積り無料!お気軽にお問合せください(^^)/

